ただ、君の隣にいたいだけ

「その通り、俺たちは仲間を見殺しになんてしない。ピンク、俺たちは会場の子どもたちにパワーをもらったんだ。お前にも聞こえるだろ?みんなのお前を呼ぶ声が。頼む、みんなもう一度、力を貸してくれ『頑張れ』ってピンクを応援してくれ、いくぞ!せーの!!」



「「ピンク、がんばれー!!」」


子どもたちが、私を、ピンクを応援してくれている。こんなに『頑張れ』の言葉が勇気を、力を、強さをくれるんだ。亮輔さんが言ってた言葉がわかる。


この声援があるからこの仕事はやめられないって。



「私は、負けたりなんてしませんわ。覚悟!やぁーっ!!」



アスタロトの腕が緩まった。その隙に腕の中から抜け出し、向かい合う。ここが私の一番の見せ場。剣を振りかざし、アスタロトの一騎討ち。


ここが私に与えられた変更点。まだまだ亮輔さんとは互角になんて戦えない。でも、ここでは私のほうがヒーロー。絶対に格好悪い無様な姿なんてもう見せられない。



「覚悟しなさい!アスタロト!!私の力を見せて差し上げるわ」



「その威勢どこまで続くかな」



交わる剣。まだ頑張れの声が聞こえる。他のみんなもそれぞれグルーミー軍団を相手に戦っている。負けない。逃げない。失敗も味方につける。



「なかなかやるじゃないか」



「まだまだよ。確かに私だけじゃあなたを倒せない。でも、私には支えてくれる仲間がいるのよ。だからあなたには絶対に負けない!!」



「おう。俺たちが力を合わせればお前なんて怖くない。いくぞ、みんな!!」



「「ナイト、スピリッツ!!」」



全員が剣を構え、アスタロトに向けて振りかざす。ドドーンと響き渡るBGM。アスタロトが胸を押さえ、よろめく。



「こんなところで、負ける、わけには、いかない。この勝負見送らせてもらうぞ」



ステージ上からアスタロトが消えて白煙が上がる。そう、今回のショーではまだアスタロトを完全には倒していなかった。