ただ、君の隣にいたいだけ

「その程度の強さで私に歯向かおうと言うのか。つまらないな、ナイトレンジャー」



「く、くそ。お前なんかに負けてたまるか」



残された力を振り絞り、なんとか立ち上がろうとするナイトレンジャー。レッド、ブルー、イエロー、グリーン。そして・・・あれ?なんでなんで私、立ち上がれないの?足の震えが止まらない。


息が苦しい。どうして、立ち上がらなきゃいけないのに。



「・・・怖気付いたか、ナイトピンク。面白い。ナイトレンジャー、このナイトピンクは私が預かっておく。返して欲しければ私の元に来い。もっとも、体力が残っていればの話だがな」



身体が宙に浮く。足が抱えられているのがわかる。このセリフはアスタロト。私、今、亮輔さんに抱き抱えられているの??身体がまた浮く。亮輔さん、私を抱えたまま舞台の間に開いた穴に飛び込んだんだ。


この穴はアクションのときにやられた敵が落ちていく場所。これ、完全にアドリブだよね。



「大変、ナイトピンクが攫われちゃったよ。それにナイトレンジャーもこのままじゃやられちゃう。みんな、大きな声でナイトレンジャーを呼んで!!」



トンと身体を下ろされて耳に入ってきたのは綾羽さんの声。足の震えがピタッと止んで我に返る。



「亮輔さん・・・」



亮輔さんは何も言わないまま、私の手を引きステージ裏の待機場所の隣にあるPA室に向かう。PA室では綾羽さんと萩原さんがペンをやたらと台本に走らせていた。