ただ、君の隣にいたいだけ

アスタロトはピタッとしたヒーロースーツとは違い、口も出ているからオンマイクも後付け出来る。アスタロトの部下のグルーミー軍団もコーモリみたい。


だから控えの中には見た目半分ヒーローと変な怪人が同じ空間に共存してる。多分客観的に見ればかなり違和感あるだろうな。急遽、シルバー役に交代した高橋さんは必死でシルバーのアクションを頭と身体で覚えようとしている。


それなのに亮輔さんは愛梨さんと二人で写メなんて撮ってるし。



「あっ、花菜ちゃんもせっかくだから亮輔と撮ったら?」


「いいです!!そんな気持ちの悪いのと撮ったら呪われそうですから」



本音半分、嫉妬半分。ちょっときつく言い過ぎたかなと反省したのもつかの間、愛梨さんはヤキモチなんて可愛いとからかうし、当の亮輔さんはデレデレしていてますます前言撤回!!


トラブルに動じないのはいいことだけど落ち着きすぎ。なんだか見ていたくなくて二人から離れ、そっと台本に目を通すふりをした。



「よしっ、いよいよだな。ヒーロー組張り切って楽しもう」



野村さんが式を取り、ヒーロー組6人で控えで円陣を組む。みんなもうマスクも付けてヒーローそのもの。私も見た目は確実にナイトピンク。


後は最後まで何事もなく、無事にやり抜けばデビューは完璧。私たちはマイクを付けてないから私語も大丈夫だし、攻撃前の掛け声も聞こえない。

攻撃前に「やぁーっ」「とう」みたいな掛け声を言うのは次は自分が攻撃しますよと相手に伝えるため。だから至近距離ならマイクなしでも相手に声が届くからあえて掛け声は言うほうがいいみたい。