ただ、君の隣にいたいだけ

「あれ?花菜ちゃん浮かない顔だね。亮輔に守ってもらえなくなっちゃったもんね」



「ち、違いますよ。着替えの話を聞いてファミリーパークがなくなったらアクシーズはどうなるんだろうって思ってたんです」



「あっ、後ろ閉めてくれる?次、交代で閉めるから。そうだね。確かにアクシーズはファミリーパーク専属のアクションショーチームだし、来年の春には亮輔もいなくなっちゃうもんね。でも、今はそんな先のことよりも今のショーを成功させること。ねっ、花菜ちゃん」



愛梨さんの背中のチャックを閉め、今度は交代に私のを閉めてもらう。マスクはギリギリまで着けなくていいから今は半分ヒーロー。半分、普通の人状態。


うん、そうだよね。せっかく頑張ろうってみんなで気持ち一つにしているのに余計な不安はいらない。そんなのは全部終わってからでいい。



「亮輔、その格好よく似合ってるじゃない」



半分ヒーローのまま控えの中に入ると亮輔さんがアスタロトの格好に身を包んでいた。アスタロトは明海も出てきたら怖がって私に抱きついてくるくらい子供たちからは怖がられる存在。


まず見た目がドラゴンで右手には毒蛇。これは大人も怖いわ。しかも間近で見るとかなりの迫力。昨日はスーツなしだったから本番までアスタロトにお目にかかることはなかったけれどまさか初めて見るアスタロトが亮輔さんとは。



「だろ?今日は子供たちを泣かせて、泣かせて、泣かせまくってやる」