ただ、君の隣にいたいだけ

「嘘だろ?!どうするんだよ!」



てるてる坊主が願いを叶えてくれた。今日は昨日とは打って変わって晴天。


熱射病に気をつけてくださいとテレビで言うくらいの猛暑。花火も間違いなく上がる。



天候は良好。問題なし。問題はアクシーズに起こった。オンマイクの怪人、アスタロト役の高橋さんの声が風邪で掠れてほとんど喋れなくなっていた。


確かにここ最近の練習でも風邪気味でよく咳をしていたけれどまさか本番で一番悪化するとは本人も思っていなかったらしい。



「食欲もあるし、身体もだるくないんだ。でも、声が・・・」



「声が一番大事だろ!どうするんだよ?お前、セリフ言わなきゃいけないだろ。誰もお前のセリフなんて・・・」



控えの中、ピリピリとしたムードが漂う。野村さんは高橋さんに怒りをぶつけるも体調のことだからどうすることも出来ない。でも、他のメンバーにも不安が募る。私だってその一人。


高橋さんの役に代役を立てるなら彼のセリフを完璧に覚えてなくちゃいけない。でも、アスタロトのセリフなんて当然、誰も覚えてなんていない。



「しょうがない。俺が影マイクで・・・」



「俺がやるよ、アスタロト。セリフは何とか頭、入ってるし、動きは本番までに何とか入れる。高橋は俺の代わりにシルバーやって」