ただ、君の隣にいたいだけ

だって、ズルい男だって言ったから。だったらこれくらいサラッと交わしてくれるよね。ああ、背中越しに亮輔さんの笑い声が聞こえてくる。ちょっと調子に乗りすぎたかな。



「・・・了解。身動き取れないくらい抱きしめてあげるから頑張って。エロガキの対処は心配しなくても俺に任せろ」



エロガキって。もう、何言ってるんだか。私は行ってきますの気持ちを込めてもう一度クルリと亮輔さんに向き直し、一礼をしてステージ裏に向かった。


嘘でもそう言ってくれて緊張が解れた。



【握手会が終わったら抱きしめて】



「今日は雨の中来てくれたみんなにナイトレンジャーが会いにきてくれたよ。ショーは無理だけど握手して帰ってね。それじゃみんなでナイトレンジャーを呼んでみよう。大きな声でいくよー!!せーの!」



「「ナイトレンジャー」」



何人集まってくれたかは見えなかったけれどこの声で分かった。こんな雨の中、足元も悪いのにナイトレンジャーを見るためにたくさんの子供たちが集まってくれたんだ。


嬉しい。始まったばかりなのにもう泣きそう。流れていた主題歌の音が大きくなり、ステージ裏の私たち新人ナイトレンジャーの登場。とにかく手を振って来てくれた子供たちに感謝の気持ちを伝える。



「わーっナイトレンジャー」



「はーい。ナイトレンジャーが来てくれました。では今から順番にお姉さんが握手会の誘導をします。お父さん、お母さんと手を繋いで前から順番に並んでくださーい」



ステージ上に順に並び私たちの間には誘導員と化した先輩たち。私の隣には亮輔さん。それだけでなんだか心強い気がする。


綾羽さんの声で順番に前に並ぶ子供たち。いよいよ私たち新人組のステージの始まり。