ただ、君の隣にいたいだけ

どうして?せっかくたくさんてるてる坊主作ったのに。朝、明海が泣きながら言ってた言葉をそっくりそのまま心の中で繰り返す。青池は朝から大粒の雨に見舞われていた。



もちろん今日のヒーローショーは中止。それでも一応雨が上がるかもしれない本の僅かな期待を抱きながらアクシーズに集合がかかった。


亮輔さんと私だけは現地集合。泣いていた明海を宥めた後、二人でファミリーパークまで歩いて向かう。さすがの亮輔さんも今日はズルイ男の顔は見せない。


代わりに私を励まそうとしてくれてはいるけれど中止が覆るわけもないのでやっぱり気分は上がらない。


あんなに練習したのに。辛かった。苦しくて要領の悪い自分に何度も嫌気が差した。それでも最後まで諦めることなく練習してきたのに。神様の意地悪。



「とりあえず、本番リハーサルするか」



開演時間まで後、2時間。雨脚はどんどんと強まるばかり。私たち演者のステージはまだ屋根があるけれど観客席には一切屋根がない。


リハーサルは出来ても楽しみにしてくれている子供たちにそれを見せてあげることは出来ない。


それでも、リハーサルは大事。しかもステージ上でやるリハーサルはあの狭い練習場と違っていて臨場感も距離感も違う。


とりあえずまずはマスクやスーツは身につけずに練習。ステージに立って観客席を見渡すと誰もいないのに緊張してきた。でも、今日は何も出来ないんだ。


みんなが控えに戻っても私はただその場に立ち尽くしていた。