ただ、君の隣にいたいだけ

「違う、違う。そこはもうちょっと手を下にして。ピンクはお嬢様で声も割と高めのぶりっ子キャラなんだから」



綾羽さんとの合わせ稽古。ナイトピンクの声をやるだけあってキャラ作りは完璧の綾羽さん。声もやっぱり似せている。



だから私の細かい動作にもちゃんと反応を示して指摘してくれる。私と綾羽さんが完璧に合わさって初めてナイトピンクになるんだ。



「あの、一つ聞いてもいいですか?綾羽さんって・・・亮輔さんのこと、好きなんですよね?」




ひと段落ついたところで今日は帰ることになった。ご飯も食べずに居残り練習に付き合ってくれた綾羽さんがお腹が空いたというので駅前のファミレスに二人で入る。


まさか、綾羽さんと二人でファミレスに入るなんて予想外過ぎたけど。注文を済ませ、ドリンクバーでお互いの好きなものを入れて席に着いた後、私は思い切って聞いてみた。


怖い。せっかく私のことを認めてくれたのにライバルだと彼女の口から聞くのは。でも、はっきりとさせておきたい。振られたけれどやっぱり私の気持ちは変わらないから。



「ああ、そう取ったのね。まあ確かに最初のあたしは完全に私情で冷たかったのは事実よ。だけどあたしが冷たかったのはね・・・」



花菜が潤の好きなタイプだったからよ。


手招きで呼ばれ顔を近づけると耳元で綾羽さんははっきりとそう言った。えっ?えっ??綾羽さんの好きな人って庄野くんだったの?!