優しくなんてできない。それはきっと私に期待を持たせないため。ファミリーパークを出るまでは声を上げて泣かない。


ようやくたどり着いた出入り口の門。受付のお姉さんは待たせたにも関わらず、私に笑顔をくれた。



「またのご来場をお待ちしております」



「・・・ありがとうございます。あの、一つだけ聞いてもいいですか?」



「はい?」



「どんなに辛いことがあってもそうやって笑って仕事、出来ますか?」



突然の私の問いかけに少し戸惑いを見せるお姉さん。そうだよね。いきなり何、言ってるんだって自分でも思う。


だけどきっとこの人だって仕事も手に付かないくらい辛い日がないわけじゃないと思う。



「そうですね・・・そんなときは心で泣いて無理にでも笑います。辛くて一人になったら堪えられないけれど制服を着るともう私はプロだって言い聞かせます。これは仕事だからって」



私の問いかけに模範解答をくれた。私はアクター。この聖地、アクシーズのステージで演じる役者。


良かったら、これ使ってくださいと渡されたピンクのハンカチ。目が腫れるくらい泣いていたのがバレちゃった。



「でも、制服を脱いで仕事から離れたら私も人目を気にせずに泣くと思いますよ」



「・・・ありがとう、ございます。必ず、必ずお返しします。その時は笑って手渡します」