「ごめんね、散らかってて」

『良いよ、別に』

「あはは、やっぱり気にしないよね」

美紀は、いつもと変わらぬ無関心な返答に苦笑いを見せ、入れた紅茶を海斗に出した。

すると、海斗は美紀に目線を向けずには居たが、半ば呆れたような口調で美紀に言った。

『あのさ、美紀の自由だけど睡眠薬飲み過ぎだよ』

海斗は空の薬シートを見ながら、そう言って目線を美紀へ移した。

「そう、かな」

『うん』

湯気の立つ紅茶をテーブルへ置くと、海斗の隣で寄り添うように座り俯いた。

『ねぇ、海斗…』

「なに?」

……シン、とした空気が2人を包んだ。
「私の我が儘聞いて」
真剣な表情で、海斗を見詰める美紀。
その表情に思わず海斗も無表情を崩した。