これは愛し合っていたというには脆く、儚くて思い出を夢に置き換えるには依存し過ぎた私達の物語。


「ねぇねぇ、好きー」

『へー』

「海斗、素っ気なぁい」

お揃いのネックレスを揺らしながら歩くのは海斗と呼ばれる少年と年上の女性。
素っ気ない返事に美紀が唇を尖らせれば、海斗は照れながら繋いでいた手を強く握り直す。
その仕草に美紀は微笑んで…

いつものことだ。

そう、何の変哲もない偽物の紡ぎ愛。

私達の関係は一つの提案から始まった。