「……あ。」

十字架を曲がったところで、自問自答を繰り返していた清の視界に入ったのは、ひらひらと舞いながら落ちる桜の花びらだった。

「ふふっ、綺麗…」

清は微かに微笑むと、カメラを取り出し、シャッターを何度か切る。

ひらひら舞う桃色に魅入られたように、何度も角度を変えながら構える。

それを繰り返していた清の身体は、当然だが歩道を踏み外していた。

「……あと、一枚だけ」

清は、そう呟くと、また構える
そして、数歩、後ずさりをした。
そのせいで清は、曲がり角の外…つまりは、幼い子供が前を見ずに飛び出すような形でいきなり、十字架の死角から車道に出た形になってしまってた。