ガチャガチャと鍵を開ける音の次に続いて聞こえたのは男性の声だった。

そして、沙織の部屋のドアを開ければ、一瞬にして、世話の焼ける妹を叱るかのような表情をした。

『お邪魔…っあー、もう。お前な…』

「ウルサいわね」

『最後まで言ってないだろがっ』

煙草は止めろ、と続けようとした青年は沙織の言葉により遮られた。

「どうせ煙草は止めろ、でしょ。聞き飽きたわよ。ついでに喋らせないで、かったるい」

『お前……っっ』

そう整い過ぎてるくらいの綺麗な顔立ちをしている癖に、この性格が仇をなして20年間、彼氏なんて居ない。

どうしたら、ここまで捻くれることが出来るのたろうと、青年…名雲、優は思う。