「ツムちゃんが僕の娘かー。可愛い娘が出来て嬉しいな」


「あっ！」


巧先生の大声に全員がビクッなる。霊園全体に響きそうな大声だ。
時々あることだけど、本当に心臓に悪い…。

大先生は巧先生の口に手を押しつけて塞いだ。



「大声出すんじゃない！お前の大声は迷惑なんだから」


「あ、ごめん。そういえばツムの天パって遺伝なんですか？」



巧先生の直球に、なぜだか母はモジモジしている。
私はすっかり忘れていたのに、よく覚えていたなぁ…。記憶力は職業柄だろうか。

プロポーズの余韻もへったくれもない。こういうところが巧先生で、嫌いじゃないんだけど。



「実は……私が天パなのよぉ！でも紡実みたいに似合わないから矯正かけてるの。今はその上からパーマね」


母は恥ずかしいと言いながら、巧先生の腕をバンバン叩いていて、私たちはただただ呆気に取られていた。
まさか母が天パだったなんて、微塵も考えていていなかった…。だけど、名前も顔も知らない父親似じゃなくて良かったとホッとする。