「つむちゃん、今日は泊まって行きなさい。近くにお母さんがいるかも知れないし、明日の朝は車で駅まで送って行くから」



日帰りのつもりが、急遽泊まることになった。
でもそのほうが安心だ。今急いでここを出て母に見つかるよりも、泊めてもらって明日早めに帰ればいい。
今何か起こっても、大先生は温泉でのんびりすると言っていたし、巧先生には何も話していないし…解決策がない。




女の子たちと一緒にお風呂に入って、食事をして、寝る前には一緒に遊んだ。
ゲームなんてものはないから、絵本を読んだりお絵描きしたり、トランプをしたり。
恋バナもしたりね。みんな好きな人がいたりして、私よりずっと進んでる。


布団に入ってから、バッグの中でずっと放りっぱなしだったスマホを手にすると、巧先生からメールが入っていた。

今日帰ってくるのかという内容で、一泊して帰ることだけを返信した。


何でだろう。
ここを出てからずっと一人で暮らしているのに、それに慣れているのに。
巧先生が隣にいないことが寂しかった。