「どこだろう。どこだろう…」
元来た道を戻りながら辺りを見回すも、それらしい物がない。
だんだん陽が落ちてきて見え辛くなった上、人通りも増えてきた。
「困ったな。どうしよう。見つからない」
途方に暮れかけたわたしに、誰かが背後から声をかけてきたのだった。
「すいません、平瀬香乃子さんですか?」
それは男の人の声で、どこか懐かしさを感じる。
ゆっくり振り向くと、修司さんが立っていた。
間違いない。
「あ、はい…。そうです」
「やっぱり。突然、声をかけてすいません。早川修司です。実は、さっき妹からメールを貰って…」
はにかんだ笑顔は、女性なら誰でもキュンとするくらいに甘くてカッコイイ。
ホント、編集長に出会う前だったら、一目惚れしてたんじゃないかと思う。
「メールって、もしかして食事の誘いの…?」
そう尋ねると、修司さんは小さく頷いた。
さっそく連絡をしていたなんて、本気でわたしを紹介するつもりらしい。
困ったなと思っていると、修司さんが笑みを向けてきた。
「すごい偶然だよね。あの日、たまたまエレベーターで出会っただけなのに、またこうして再会するなんて」

