「可愛いですね。編集長って、こういうの好きなんですか?」
本当はもっと笑いたいところだけど、 ガマンガマン。
すると、編集長は少し照れ臭そうに、キーホルダーをわたしの手へ押し込んだ。
「オレの趣味じゃないよ。平瀬にと思って。それ、恋愛成就のお守りなんだってさ」
「え?恋愛成就?」
編集長は歩調を速めながら部屋へ向かう。
それにわたしも必死について行った。
「そう。よく見てみろよ。オレ、これの宣伝文で知ったんだけど、クローバーってさハートの形をしてるんだよな」
「ハート?」
言われるままクローバーを眺めてみると、確かに葉の一枚一枚がハートの形をしている。
「ホントだ!全然気付きませんでした」
今まで何度も見たことのあるクローバーだけど、ハートの形をしていることには気付かなかった。
「だから、恋愛成就のお守りなんだってさ。ハートの四つ葉のクローバーなんて、最強な感じがするよな?それも、記事の一つに書かせてもらうから」
「あ、はい。それはもちろん…」
いちいち、わたしの許可を取る必要なんてないけど、編集長にとっては、このキーホルダーはもうわたしの物なんだ。
「確か、好きな男いるんだよな?うまくいくといいな」
「は、はい…」
そうか。
編集長は、わたしに好きな人がいると思ってるんだっけ。
だから、これをくれたんだ。
「ありがとうございます。大事にしますから」
わたしが好きな人は編集長なのに。
その願い、本当に叶いますか?
叶ってもいいですか?

