車は高速を順調に走行中だ。
編集長の運転は、まるで危なげなく、ますますわたしの中の評価はアップしている。
ハタから見たら、わたしたちはカップルに映るのか、そんなことを考えながらニヤけそうになる顔を引き締めていた時、携帯の着信音が鳴った。
それは、編集長の会社用携帯からだ。
「悪い、平瀬。誰から電話か見てくれないか?」
「はい」
言われるがままディスプレイを確認すると、編集部の須賀(すが)さんからだった。
須賀さんは勤続7年の中堅男性社員で、仕事熱心な体育会系。
その熱血な性格から、編集長と時々衝突している。
「須賀さんからですが…」
鳴り響く携帯は、しばらくして大人しくなった。
「須賀か。何か急な用事が出来たんだろうな。ちょっと掛け直すから、次のサービスエリアで停まるな」
「はい、分かりました」
そっか。
編集長って、こうやって社外に出ても忙しいんだ…。

