そうだったっけ?
すっかり忘れていて、返す言葉もない。
どうやら編集長は、『忘れた』というのが気に入らないらしい。
もうダメだ。
これ以上、話を続けてもボロが出るだけ。
「そうでしたね。忘れてました。それじゃあ、おやすみなさい」
残念だけど、電話を切ろう。
半ば無理矢理、話を終わらせようとすると、「ああ、じゃあな」と、相変わらずぶっきらぼうな編集長の言葉が返ってきたのだった。
本当に、こんな調子で一泊の出張なんて大丈夫かな。
考えれば考えるほど、ため息が漏れる。
そして社内では、わたしたちの出張が密かに『一泊旅行』と揶揄され、周りからは同情される始末なのだった。

