「どうぞ」
今日は修司さんが来ていたから、亮平もスーツ姿だ。
だけど、この時間まで着こなすのは鬱陶しいらしく、ジャケットは脱いでネクタイを緩めている。
やっぱり亮平には、こういうラフな雰囲気が良く似合っていた。
「ありがと」
目線は原稿に、でも手はコーヒーに伸ばした亮平は、一口飲んだ後ポツリと言ったのだった。
「プロジェクト、残念だったけど、これで良かったよな?」
「え?何で?」
いいわけないんだって。
やっぱりそんな事を言ってる。
「だって、これでオレたちは離れなくてすむじゃん。今までみたいに、毎日会える」
「本気でそう思ってるの?」
「え?本気だよ?当たり前だろ」
じゃあ、目を合わせなさいよ。
ずっと原稿を見て喋ってて、まるで自分に言い聞かせてるみたい。
「ウソ。亮平は本当はそんな風に思ってない」

