「編集長。今日は来てくださり、ありがとうございます」
修司さんは亮平に視線を合わせ、他の来場者の説明をしている。
これからの仕事に必要な人脈があるらしく、亮平の表情はいつになく真剣だ。
「情報誌のVILLAは有名ですから、その編集長だと話をすれば、みんな近付いてきますよ。新規事業の話も、かなり話題になっています」
「じゃあ、あの方たちは?」
亮平と修司さんは、目線だけ動かしながら話を続ける。
二人とも出で立ちからカッコイイのに、話してる内容が真面目な仕事の話だと、ますますカッコ良く見えてきた。
うっとりしながら、二人のやり取りを見ていると、早川さんのポツリと呟く声が聞こえたのだった。
「沙耶さんなんかに、お兄ちゃんは会わせない」
「え…?早川さん、それどういう意味なの?」
出来る限り早川さんに近付いて、二人に聞かれない様に話しかける。
「だってあの人、お兄ちゃんを裏切ったから。だから、許せないんです」
早川さんは、視線を修司さんに向けている。
その顔は、怖いくらいに険しい。
その姿を見て、確かめなくても分かった。
沙耶さんは、修司さんが結婚したかった元カノだ。

