どうやら、隣の女性が沙耶さんらしい。
「初めまして。結城(ゆうき)沙耶です。絵美さんには、いろいろお世話になってるんですよ」
にこやかな笑顔が、いかにもオトナの女性といった感じだ。
並ぶと、自分がいかに子供ぽいかがよく分かる。
「沙耶さんてね、ハーティーの上得意様なの。今度、ここのホテルのオーナーと結婚するのよ」
「えー、素敵ですね。いいなぁ。ホテルのオーナー…」
と言ったところで亮平に睨まれ、口をつぐむ。
「ねえ、もし良かったら一緒にまわらない?沙耶さんから聞ける情報は、なかなかレアよ〜?」
絵美さんからの誘いに、当然OKするだろうと思っていたのに、早川さんの「わたしは遠慮します」の言葉で、亮平は断ったのだった。
「悪い、絵美。今日は半分仕事みたいなものだから」
亮平は、先を急ぐ早川さんを追いかけて行く。
一体、どうしたんだろう。
いつもの明るい早川さんらしくない行動だ。
「絵美さん、それじゃあまた。わたしは、近い内に会いたいと思ってるので」
急いで声をかけたわたしの腕を引っ張った絵美さんは、耳元で囁くように言ったのだった。
「香乃子ちゃん、亮平と付き合ってるんだって?ビックリしたよ」

