何…?
何をされてるの?
目を見開いたままでいると、修司さんは唇を離した。
「ごめん…」
気まずそうに伏目がちにしている。
そんな修司さんに言葉をかける余裕なんてなく、気が付いたら走り出していた。
「あっ!香乃子ちゃん!?」
修司さんから逃げ出したのは、これで2回目。
前回は、とにかく亮平に会いたかったから。
そして今夜も、自然と向かう先は亮平のところだ。
「わたし、キスしちゃった」
いくら不意打ちだったとはいえ、キスをしたことに変わりはない。
どうしよう…。
これって亮平を裏切ったことになるのかな。
途中、修司さんから電話がかかってきたけど、とても出る気になれない。
こんなことなら、番号交換なんてしなければ良かった。
息も切れ切れでオフィスへ着くと、飛び込むようにドアを開ける。
そこに待っているのは亮平…だけのはずだったのに。
「きゃあ、平瀬さん!」
わたしに気付いて声を上げたのは、早川さんだった。
「今、二人で何してたの?」
青ざめる亮平と、ひどく動揺する早川さん。
わたしの見間違いじゃなければ、今キスしてたよね…?

