すると、修司さんの寂しげな笑顔は苦笑いに変わった。
「ごめん。こんな話をされても迷惑なだけだよな。話を変えようか」
「いいえ、全然。むしろ聞きたいです。彼女さんと、何かあったんですか？」
わたしも修司さんも、隠している想いがあったんだ。
それが分かって、正直ホッとした。
だいたい、出会って間もないわたしに、修司さんが本気になるのが不自然だから。
もしかしたら、切ない過去を埋めようとしているのかもしれない。
「彼女とは、4年付き合ってたんだ。同じ歳の女性で、雰囲気は…香乃子ちゃんによく似てる」
「わたしですか？」
「うん。初めて会った時、彼女に似てるなって思ったくらいだから」
そんなに思うなんて、よほど好きな人だったんだ。
「そんなに好きな人と、何で別れちゃったんですか？」
「それは、オレのせい。仕事にばかり気を取られていて、彼女に寂しい思いをさせてたんだ。気が付いたら、彼女に浮気をされてたよ」
「浮気！？それって、ヒドイじゃないですか」
「彼女をそこまでさせたのは、オレのせいだから。それから、香乃子ちゃんにも謝らないとな。ご飯に誘っておいて、この店は本当は、彼女にプロポーズしようと思っていた店なんだ。思い出に付き合わせちゃったな」
