「だけど、初めての夜は一人でさっさとバルコニーに行っちゃうし、会社では素っ気ないし、全然そんな風に思えなかったんだけど」
ここはシッカリと伝えておかなくちゃ。
今後にも関わることだ。
すると、亮平は目を細めて罰悪そうに笑った。
「ごめん、ごめん。わざとじゃないんだ。と言っても、会社はわざとだけど」
「ええー?そんなの酷くない?わたしは、会社でも亮平とラブラブな感じでいたいのに」
「そういうわけには、いかないだろ?社内恋愛は、いろいろと問題があるんだよ。だから、わざと素っ気なくしてるんだ。香乃子も協力しろよ」
「う、うん…」
全く納得いかないけど、それ以上は聞けなかった。
弥生の言うとおり、わたしとの付き合いにリスクがあると思われているならショックだから。
きっと、知らない方がいい亮平の気持ちもあるかもしれない。
「おやすみ、亮平。また、朝一番で帰るね」
ちょっぴり面倒臭いけど、着替えに戻らないといけない。
すっかり夜も更けたことだし、早く寝ないと明日が辛そうだ。
目を閉じると、亮平が軽く唇を重ねてきた。
「おやすみ、香乃子。朝、送っていくから起こせよ?」
「うん。分かった」
と、約束したけれど、明け方一人でコッソリ帰ったのだった。
それは、気持ち良さそうに眠っている亮平を起こしたくなかったから。
わたしなりの気遣いで…。

