一人、また一人と仕事を終えていく。
そんな中で、亮平はほとんど手を止めることなく仕事を続けていた。
一体、何の仕事をしているんだろう。
プロジェクトって何?
それを聞きたいけど、きっと教えてくれないんだろうな…。
「平瀬、急ぎの仕事じゃないんなら、もう帰れ」
いつの間にかオフィスには、わたしと亮平の二人きりになっていた。
「はい…」
もう誰もいないのに、わたしを『平瀬』って呼ぶんだ…。
ため息をこぼしながら、ほとんど上の空で進めていた仕事を切り上げる。
さっき給湯室で言ったことに、亮平からは特別変わった様子は感じられない。
本当に無かったことにされるのかな。
パソコンの電源を落とし終えた時、ドアが開く音がして、早川さんが入ってきた。
「あ、平瀬さんも残ってたんですね」
息を切らせながら、驚いた顔で見ている。
驚くのはこっちで、一体どうしたんだろうと思っていると、コンビニの袋が目に入った。
「早川、どうしたんだよ?帰ったんじゃなかったのか?」
亮平は立ち上がり、早川さんの側まで来た。
「実は、差し入れをと思って…。編集長、今夜は遅くなるって言ってたじゃないですか」
それで息を切らせて来たっていうの?
健気過ぎる。
「ありがとう。悪いな、気を遣わせて」
亮平も嬉しそうな笑顔を浮かべ、袋を受け取った。
「あれ?二つあるけど…」
どうやら、同じものが二つあるらしい。
「ちょうど良かったんで、平瀬さんも召し上がってください。スイーツですけど、頭がスッキリすると思いますよ」

