おかしい…。
就業時刻になり、仕事を始めてみたものの、亮平はまともにわたしに視線を向けてくれない。
反対に、こっちはチラチラと見ているというのに。
全く目が合わないじゃん。
もう!何でよ。
亮平は、わたしに会えるの待ち遠しくなかったの?
「こういう時に限って、夜のデートスポットの記事担当か」
大きくため息をついたと同時に、弥生が声をかけてきた。
「何が、『こういう時』なの?何かあった?」
まったく、弥生の地獄耳にも感心する。
「わたしの独り言、そんなによく聞こえる?」
嫌みで言ったのに、弥生は涼しい顔をしている。
「聞こえる、聞こえる。どうせ編集長絡みでしょ?当てつけで言ってるのかと思ったくらいよ」
「当てつけ?」
そうか。
その手があったわ。
亮平が素っ気ないなら、こっちにだって考えがあるから。
「もしかして、面白い話があるんじゃないの?昼休憩に教えて。一緒にランチ行こ」
弥生は楽しそうに言うと、作業デスクへ向かった。
「当てつけねぇ…」
よし、試しにやってみるか。

