微かに匂う甘い香り。
これは、編集長のコロンなのか。
出張で一晩一緒にいても、全然気が付かなかった。
「編集長?」
突然抱きしめられ、鼓動が痛いくらいに強くなる。
緊張でいっぱいだけど、見た目以上に広くて温かい胸に、まだ離れたくないと思ってしまった。
「ごめん。平瀬を傷つけるつもりはなかったんだ。本当にごめん」
抱きしめる腕に力を入れる編集長。
わたしはこれを、どういう意味で受け取ったらいいんだろう。
「編集長、一度離してください。もう分かりましたから」
そっと言ってみるも、離してくれる気配はない。
「離さない。離したくないから」
「編集長…?」
胸のドキドキは、絶対に伝わってる。
それくらい、強く鼓動が打ってるから。
「平瀬、オレもずっと好きだった。平瀬のことが、ずっと好きだったよ」

