本当にいた…。
必要な場所だけに明かりをつけて、編集長はパソコンを打っている。
ドキドキしながらゆっくりとドアを開け、思い切って声をかけてみた。
「編集長…」
「うわっ!ビックリさせるなよ。どうしたんだ平瀬」
相当ビックリしたのか、編集長は弾みで立ち上がっている。
「来ちゃいました。わたしも仕事を手伝いたくて」
ぎこちないながらも、笑顔を浮かべてみる。
だけど、編集長は少しも笑ってくれなかった。
「いや…。別に手伝ってもらうことはないから」
冷たく言い放ち、大きくため息をついた編集長は、再び座り直してパソコンに視線を移している。
「迷惑でしたか?」
やっぱり受け入れてもらえないのかな…。
せめて、今までみたいに普通に会話をしたいのに。
一体わたしの何が、編集長のカンに触ったんだろう。
「迷惑ってわけじゃないけど、お前修司さんはどうしたんだよ?なんか、部屋に誘われてたじゃないか」
「そんなの行くわけないじゃないですか。わたしたち、まだ知り合ったばかりなんですよ?」
まさか編集長が、修司さんの誘いを鵜呑みにしてるとは思わなかった。
ショック過ぎて腹が立つ。
つい感情的になったわたしに、編集長はデスクから何かを取り出すと、それを持って来た。
「じゃあ、神頼みしてみるか?修司さんと仲良くなれますようにって」
編集長から手渡されたものは、失くしたと思っていた四葉のクローバーのキーホルダーだった。

