「というか思ったんですけど、名前交わす必要ありますか?」
もうこれっきりじゃないの、私たち。いわゆる一期一会ってやつでしょ、これ?
「また話すときあると思うけど、お互いの仕事場、変わらない限り。」
「……何それ。」
彼は意味ありげに笑う。
さっき彼が言ってた、私を知ってるっていう理由もそれに関係してるのかな。
まぁ何で私のこと知ってるのって聞いたとしても、素直に教えてくれなさそうだから言わないけど。
「で。何で泣いたの?」
「はい?」
「泣いてなかった?ブランコ乗りながら。」
彼の言葉に私の体はかちっと固まる。
え、そこから見てたの?
というか、この人どっから私のこと気付いてたの?
「ブランコは乗ってましたけど…」
泣いてはない、よね?もう泣き止んでたはずだ。
「泣いてたのかと思った。」
彼は私の顔を覗き込んでくる。
「大っ嫌いだっけ?」
くすっとそのまま口の端を緩めた。
「ちょっと!」
驚く私にハハハと彼は一気に笑う。
この人、結構前から私のこと見てたんだ!
だって、大っ嫌いって元カレに叫んでたこと聞かれてんだもん!
最悪…
独りでに叫んでるところを見られる以上に恥ずかしいことなんてないよ。
「誰が嫌いなの?」
「…言う必要ありますか。」
「ないけど、気になるじゃん。」
「笑われるような話じゃないですもん。」


