「っていうことがあったんだけど、どう思う?」

「…正直に言ってもい?」

「うん。」

「……いろいろ複雑すぎてよく分かんない。」

「まぁ、そうだよねぇ。」
 ごくっと私はコップに注がれているお水を飲んだ。


 ―――“あの”奇妙な出会いから今日で約2週間。彼氏に振られたことといい、それのことといい、私の頭はなんだかごちゃごちゃ。彼氏も浮気してて、それで、偶然会ったその人も浮気してて?

あー、もう!

コックコートの男に会った次の日、とうとう私は幼馴染の紗香に救いの手を求めてしまった。彼女は今、お仕事が忙しい時期だってのに。

「本当ごめんね、忙しいのにこんな話聞かせちゃって。」

「へー?全然気にしないでよ、お肉食べれて嬉しいし。」
 テーブルの中央に張られた網の上のお肉を、彼女は一つおてしょうのたれの中へいれた。私も彼女が口にそれを運ぶのを見届けて、同じように食べる。

「しかし……。」
 そこで、じろっと紗香は上目づかいで私に目線を合わせてきた。

「別れちゃったのか、しかも…浮気。」

「……あぁ、うん。」
 私はポリポリと後ろ髪をかいた。

「ちょっとは落ち着いた?
まだ当然、完全にはいかないだろうけど。」

「まぁ……ぼちぼちってところ、かな。」
 不自然に私は視線を外す。