悲し笑いの横顔


「……彼氏というか。」
 元カレ、なんだけど。まぁ、合ってるちゃあってるのか。

「けんかでもしたの?」

「いや……けんかとかじゃなくて。

別れた…というか。」
 そんな風に素直に白状してしまったのは、さっきまでとは違って、どこか憂いを感じる彼の表情のせいなのかもしんない。


「…なんで。」

「え?」

「あ、いや、何で別れたののなんで?」
 あぁそっちの“なんで”ね。

「浮気というかなんというか。」

「まじ?」

「まぁそう言われたので。」
 きっぱり、はっきり…

「別れようって自分から決断したの?」

「いや、どちらかというと彼が。」
 浮気したから別れよう、間髪なく言われちゃったもんな、私。

「じゃぁ好きじゃないの?もう。」

「……浮気されちゃったんでね。」
 まさか自分が浮気されるとはどっかで思ってなかったんだけど、なんとなくずっとおぼろげだけど決めていたというか。

浮気されたら別れなきゃいけないんだろうなって。
ドラマとか本とか友人とか、何の影響でそう思うようになったかは分からないけど―――。

「そっか。」
 彼は少し寂しそうに笑った。

「大っ嫌いって叫んでたのもうなずけるよ。
遅くにブランコ乗ってる理由にもね。」

「でしょ?」

「うん。」
 柊木さんはまた微笑む。

でも、それが結構心地良かったりするんだ。下手に同情されちゃうよりも、下手に慰められるよりも。
微笑むどころかもっと思いっきり笑われたって、もしかしたら平気かもしんない。