彼は気になるなぁ~とそこで言葉を漏らす。
だから笑われるような話じゃないんだってば。
もう一度念押ししようかと思ったが、柊木さん…だったっけ、彼はまたレストランの方に視線を向けていたので私の口は開かなかった。
「あの、」
そんなにレストラン気になるなら、戻られたら…
「ごめん、アヒルちゃん。
ちょっと静かにしてもらっててもいい?」
彼は依然として後頭部を私に見せながらそう静かにつぶやいた。
黙ったまま、心の内のどっかで何よと思いながらも私も彼と真反対の方向へ視線を動かす。
随分暗くなったなぁ。
ぼーっと遠くの街灯を眺めていた。
「アヒルちゃんごめん、もう喋っていいよ。」
ほどなくして、彼はトントンと人差し指で私の肩をつついてくる。
「そっちが話さない?って言ってきたんですよ。」
軽くぶつくされた私に、ごめんごめんとから笑いを柊木さんは浮かべた。
「んで、なんだったっけ。
あ、そうそうアヒルちゃんの嘆きだ。
ぐわぁ~って叫んでた。」
「ぐわぁ~って叫ぶのは本物のアヒルだけです。」
ったく…
「当ててあげようか。」
「え?」
不意に、先ほどまでとは打って変わって冷静に柊木さんはつぶやいた。
「アヒルちゃんがなんで大っ嫌いって呟いたのか。」
じろっと私の顔色を覗いてくる彼の瞳に、少し緊張する。
さっきまであんなに軽い口調だったのに、急にクールになるなんてずるい。
「彼氏関係でしょ?」
そこだけ柊木さんは私の瞳を見ずに、ブランコを見てつぶやいた。


