そして、あたしと雨雅は雨の日は帰ってから雨に打たれなきゃ生きていけない。





『雨氷』は雨と共に生きて行かなきゃ行けない異人。




一週間に一回は雨に触れないと体調が悪くなってしまう。





それに『火陽』の血も流れているから太陽が1ヶ月も見れないと体調を崩す事もしばしば……。



だから隠すのも少し大変な部分もある。





「嶺雨、学校大丈夫だったか?」




雨雅は刹那そうに笑った。





少し日に焼けた肌はお父さん似。





「……まぁ。昨日は騒がれたからね」





この世界は、人間と『異人』を差別する。





「……だよなぁ。俺のクラスも半端無かったよ」





雨雅は朱穂高校の1年生。





雨に触れてると不思議と落ち着く。







髪を見ると…他の異人よりも目を引く、…水色の髪。





「嶺雨様って日本人離れした顔立ちとスタイルきてるよね」




「…確かに!…もしかしたら、『異人』だったりして」





「「…えぇ?それは困る!笑」」





あたしは静かに目を瞑った。




怖い。





冷たい手のあたしに、温かい手に包まれた。





「…嶺雨、そんなに心配すんなよ。俺だって怖いよ」





温かい手は、まぐれもなく雨雅の手。





あたしと雨雅はいつでも一緒だった。





学年が違っても教室に行ったり、来てくれたり……。





今でも変わらず仲は良い。






「……『異人』が何か悪いことしたわけでもないのに…」





不貞腐れた声が聴こえた。






「…そうよね」






でも、仕方ないもの。





あたしは雨雅と手を繋いでない方の手を、天空に向ける。






そして、静かに念じる。






ブアッと冷気を発して氷のウサギが顔を現す。





あたしは静かに笑う。





すると、隣で雨雅も同じようなウサギを創り出す。





見つめ合って、二人で笑い合った。