「…あら、学年1の王子様じゃない!」






……学年1の王子様?








「……そうなの?」






「…え!?嶺雨、知らなかったの?」








茉侑はあり得ないっ!…と言いたげにしている。







「…知らないわよ」








「…まぁ、嶺雨くらいだよな。羽園のこと知らなかったのは」







「…え?じゃあ、鼓君は知ってたの?」






「…まあね。でもコイツが話すなって言ったんだよ」






そう言って、羽園君を見る鼓君。






「…そうなの、羽園君?」







「…あぁ、お願いした。もう焦らせたりしないから」







そう言ってさみしそうにする羽園君。






そんな顔をさせているのは、あたし?






「…ご、ごめんなさい。ちゃんと…ちゃんと思い出すから」






「…焦らないでよ。俺はこのままでもいいんだよ。…あの時の記憶がなくても…嶺雨が居るなら」




そんな寂しそうに言わないでよ…。







「…嶺雨♫」






「…う、雨雅っ、わあっ!?」






あたしが雨雅に近付こうとしたら急に…鼓君の足に引っかかってしまった。





…今日は付いてないかも…。






スッと隣から伸びてきた手。






目を開けると…男の子に抱きしめられている。








ドキドキする胸。







嗚呼、あたし…この気持ち知っている。








「…羽園君。ありがとう」







あたしは顔を上げると、思ったよりちかくにあった羽園君の顔。





「…嶺雨」






羽園君がそう呟いた瞬間。









羽園君の唇とあたしの唇が重なった。







「…ん」






驚いたものの、押し返すことはしなかった。






あたし…………………、何処かで知っている。





この感覚を知っている。






至近距離で目が合うと、羽園君は綺麗に目を細めた。





それがとても色っぽくて……。









「「………」」







クラスメート、それから茉侑、鼓君に雨雅は呆然。







「…んんっ」







あたしは軽く押し返すと、すぐに離してくれた唇。