アイツ限定




「うっし、着いた。オールコートはきついから半コートでいいよな?」



そういって、村上は1人用具室へと向かい、ボールを取りに行く。

あたしは、体育館に座り、軽くストレッチする。



「ああ、いいよ。オールコートだと体力持つかわかんないし。」



「ってかさ…お前、その格好でやるわけ?」



村上は、ボールをくるくると手の上でまわして、あたしの格好を指差してくる。


…そんなわけないじゃん。


今日のスカートは人一倍長いあたし。


なんでかというと…。


ストレッチを終えたあたしはスカートのフォックに手をかけて、躊躇なくスカートを下ろした。


村上は、一瞬驚いたようなそぶりを見せたが、そのあとは、納得したように村上も上着の学ランを脱いで、Yシャツも脱ぎだした。


どうやら、あたしたち2人は、今日同じことを考えていたらしい。



制服の下は、Tシャツとバスパン。


2人とも、その格好になると、顔を見合わせて、センターサークルへと移動する。


180cmのこの村上の巨体にあたしはどこまでついていけるのか。

キャリアは浅い。

だけど、バスケに駆ける想いだけは負けたくはない。


村上が、どんな過去を背負っていようが、コートに立てば、そんなのは関係ない。

女だと思って、なめてかかったときには遠慮などしない。