アイツ限定




「ああ…ちょっと体育館に。今どこのクラスも体育館使ってねぇんだよ。

…お前本当は、立ちくらみしただけだろ?…やろうぜ。バスケ。」



本当は、こいつ、心からバスケ好きなんだ。

だけど、親父さんのことがあるから、その反抗として、自らバスケを遠ざけている。


やっぱり…村上には、きっとバスケが必要なんだ。


そうおもうと、何故か嬉しくなって、笑みがこぼれる。



「…ふふっあはははっ…!わかった、やろう!バスケっ!」



そういって、あたしはゆっくりと、ベッドから体を起こし、立ち上がって、保健室を出た。




スリッパからうち履きシューズに履き替え、体育館へと向かうあたしたち。



「村上、バスケやるなら勝負しよう。1on1で、得点多く入れたほうの勝ち。制限時間はチャイムがなるまで。」



あたしは体育館に向かう途中、村上にルールを提案する。



「ああ、わかった。」



そういって、村上は、首の関節をコキ、コキっと鳴らす。


さっきまで不安だったのが嘘のように今は清々しい。

何、あたし小さいことで、悩んでたんだろう。

村上はあたしをちゃんとわかってくれてる。

分ろうとしてくれてる。


信じるって決めたんじゃん。



信じよう、コイツなら、信じられる。