アイツ限定




「おい、川本。こいつ保健室連れてくから、先生に言っとけ。」



村上は、明日香にそう言い放つと、あたしを抱えたまま、歩き出す。

クラスの視線があたしと村上に集まっているのがわかる。



「自分で歩けるから、早く下ろせっ!」



そういって反抗してみるものの、あっけなく無視されるあたし。



「病人はおとなしくしてろ。」



その一言だけ言って、あたしたちは教室を出た。

廊下には幸い、人はおらず、あっというまに、保健室に着いた。




__ガラガラ…


村上は両腕がふさがっているため、器用に足でドアを開けた。


保健室の先生は、不在のため、村上はゆっくりとあたしをベッドに寝かせる。



「保健室の先生、出張だってさ。」



村上は、そういって、ベッドにゆっくりと座る。




「そう…2限目になったら戻るから。もう大丈夫だかし、教室戻れば?」



あたしは、そういって布団にもぐりこんだ。


すると、村上は立ち上がったのか、少しベッドが揺れた。

そして、足音が遠ざかっていくのがわかる。