「あはははっ!…何その顔。マジでフグ。」
「マリ、最低っ!人を魚扱いにしてぇ!」
「あはははっ!ごめんごめん、マジで今の顔ツボ。」
「もぉー!…ってあれ、あの女の子、もしかして千夏じゃない?」
明日香は、笑顔から一瞬にして曇った顔になって、校門の方に目をやった。
あたしにはよく見えなかったけど、男の子が校門の柱に寄りかかって、そこに1人の女の子が駆け寄っていくのが見えた。
「何?千夏に彼氏?何、あの校門に寄りかかっている男カッコいいわけ?」
「…いや…。あれは…千夏と…村上君?」
明日香の言葉で、あたしの顔から笑顔が一瞬にして消えた。
千夏と、村上?
いや…偶然かもじゃん。
村上が誰かを待っていて、そこで偶然千夏が話しかけたとか。
「あ、2人で校舎に向かっていっちゃった…。」
明日香の言葉が静かにあたしの心に突き刺さった。


