アイツ限定



「…綺麗…すごい。」



ふともれたあたしの声。


その瞬間、村上がさっきよりもあたしの手を強く握った

あたしもそっと強くその手を握り返す。




「本当に好きだから…お前のこと。」



相変わらずの真顔で言ってくる村上だけど、あたしにとってはとてもうれしかった。


この人がもう一度チャンスをあたしにくれた。

人を愛するチャンスを。

人を信じるチャンスを。

人と向き合うチャンスを。


もう、あたしはこのチャンスをもう逃さない。



「…あたしも。」



そういって、村上の方を向くと村上は驚いた顔をした。

ポーカーフェイスが、一瞬崩れた。

そんな、村上の顔を見てあたしは、くすっと笑ってしまう。



「まじかよ…」



そう言って、村上は優しくあたしを抱き締めてくれた。

雅人の時は、恐怖で体が震えたけど、今は全くふるえなかった。


それどころか、村上の胸は安心した。



「男嫌い…なおったわけ?」



村上が、あたしの耳元で耳打ちしてくる。


甘くて…今にもとろけてしまいそうな、村上の低音ボイス。


一瞬自分の顔が赤くなるのがわかった。

それを、村上の胸にうずくまって、隠す。


それが村上にはばれたのか、さっきよりも強くあたしを抱きしめてきた。