「いったぁ~…何すんだよっ!」
「うるせぇ…!!しばらくこっち見んなっ!」
「照れてやんの。」
「…照れてねぇし。」
「ふふふっ…感情…ちゃんと顔に出せんじゃん。いつか…また笑えるだろ。その調子だったら…あ、でも親父さんがダメって言うかも。」
あたしがそういうと、村上があたしの頭を押さえる力が弱くなり、あたしは村上の方を見る。
何…急に…
「…親父はもういねぇよ。中3の冬、脳卒中で死んじまった。だから俺は今、バスケしてねぇし、こんな公立高校に来れたんだ。」
「そう…なのか?」
「でも、全く悲しくなかった。俺、親父のこと1度も親だって認めたことねぇし、大っ嫌いだったからな。…ってこんな話どうでもいい。」
そういって強がって言っているようだが、なんだかあたしにはどこか悲しそうな…寂しそうな…そんな感じに聞こえた。
「…きっと天国言ったあんたの親父さん、後悔してんだろうな。あんたにそう思われて、きっと後悔してる。」
「そんなはず…ねぇよ。あの人自分中心に世界が回ってるって思ってたような人だから。」
村上、あんたはわかってないよ。
人に表と裏があるように、みんながみんな、表が光だとは限らない。
表が影の場合だってある。


