アイツ限定




「ああ、当たり前だ。大丈夫、信じろ。」



そういって、村上はあたしの頭を優しくなでた。

その手はとても安心した。

その瞬間、昔の村上の幼き日の笑顔と、今の村上が重なる。

あのころとは違う。

逞しくなってあたしに前に再び現れた村上。

あたしの心臓はうるさく鳴っていた。


もう、後戻りはできない。


きっとあたしは…恋をした。

男嫌いのあたしが…この目の前の俺様ポーカーフェイスの男に。


自分をもうこれ以上偽ることができない。



「…信じるよ。あんた限定で…」



もう、自分の顔が真っ赤なのがわかる。

顔を上げることはできない。



きっと村上は相変わらずのポーカーフェイスなんだ。

あたしはそう思いつつ、村上の表情をちらっと伺った。



え…

一瞬目を疑った。

村上は、片手で口元を隠して、頬を真っ赤に染めているのがわかる。


照れてる…のか?

あの、ポーカーフェイス男が?


村上は、あたしに気付いたのか、あたしの頭を押さえて、自分の顔を見せないようにする。