村上の鉄壁のボーカーフェイスから、こいつが何を考えているのかがあたしにはわからない。
「…別にそんなの俺気にしない主義だから。お前被害者だろ?何そんな弱気になってんだよ。」
それは…あたしの予想外の言葉だった。
こいつは…変人?
普通の男はこういうのは気にするんじゃないわけ?
わかんない。
こいつ…本当に何考えているわけ?
「バカじゃないの?…なんで、あたしのどこにそんな魅力があるって言うんだよ。とうの昔に汚れてしまって、言葉遣いも荒い、女子力なんて0に等しい…
あんたみたいな容姿持ってる奴なら、あたしよりも可愛い女の子きっとすぐに見つかる。
だからもう…あたしのことなんて忘れろよ。」
あたしは村上の顔を直視できなかった。
こいつも目は何もかもを見透かしてしまいそうで怖かったから。
「…お前の方がバカだと思うぜ。
お前は…綺麗だ。心の中は誰よりも…綺麗だ。汚れなんてない。
自分に自信持てよ。お前は十分魅力的だから。俺の初恋相手なんだから。」
本当にこいつはそんなこと思っているわけ?
影で実は、あたしのこと汚いとか思ってたりするのかもしれない。
もう、被害妄想が止まらない。
どうやったって信じられないんだ。
相手が男である限り、あたしはきっとバスケをあたしに与えてくれた男の子でさえ心を開けない。
「…あたしはあんたの知っている昔のあたしじゃない。…だから…「うるせぇな。」
あたしが言い切る前に村上が低い声で、言ってくる。
あたしはその言葉に反応して、下を向いていた顔を上げた。


