アイツ限定


すると、あたしと同じくらいの男の子が、バスケットボールを一生懸命について、シュート練習をしているのが見えた。


その時のあたしはその子に恐怖心は抱かなかった。

そのこは、あたしよりも体は小さく、力が弱そうに思えたから。



その男の子は、あたしに気付くと、ニコッと可愛らしく笑ってきた。

男の子のくせに、笑うと一気に可愛さが増す笑顔だった。


優兄と同じえくぼを持つその男の子。



「一緒にバスケ…しない?」


その男の子は、笑顔のままそうやって話しかけてきた。



「バスケ…?」



あたしがそうやって返事を返す。



「こうやって一人でやってても、相手がいなかったらつまんないんだ。俺の相手してよ。」



「…ちょっとだけだからね。」



あたしはそういって、公園のベンチにカバンを置くと、オレンジ色の少し古びたバスケットボールが飛んできた。


あたしがとっさにそのボールをキャッチすると、その男の子はニコッとまた笑って、「ナイスキャッチ!」って言ってきた。

元から運動神経は悪くないあたしは、体育の時間でバスケを習っていたため、一応人並みにはできた。

ボールを取って、バウンドして、シュートする。

簡単なようで複雑で難しい。


男の子は、バスケを習っているのか、あたしよりはるかに上手かった。


あたしが、その男の子のシュートを邪魔して、男の子は私をよけてシュートを打つ。


頑張って体張って邪魔しているつもりでも、あっけなく抜かれてしまうあたし。