アイツ限定



で、改めて実感した。

こいつは極度の男恐怖症なんだって。


マリは、そんな状態でありながらも、「ごめんなさい」って泣きそうな声で言ってきたよ。



だから俺はマリの耳の傍で小さく「愛してる」ってつぶやいた。

その瞬間、マリの表情はやわらかくなって、次第に頬を赤らめていった。

それがあまりにも可愛くて、俺は、手握るくらいなら大丈夫かなと思って、そのまま「大丈夫、一生離さないから」なんて言いながら、帰り道歩いたの覚えてる。





ゆっくりやればいいやって思ってた。


あせらなくてもいいやって。






だけど、現実そううまくはいかなかった。




マリにとって、バスケでのボディータッチと手をつなぐこと以上のことを男とすることは不可能だった。



ハグはもちろん。


キスもダメ。



触れたくても触れられない。



彼氏なのに、付き合ってるのに、俺は彼女に触れられない。