アイツ限定



「…雅人に…嫌われる。」



マリは今にも消えそうな声でそういった。

嫌われる?

なんで?

そう俺は思った。



「大丈夫だから、心配すんな。俺、どんなお前も受け止めるから。」



そう俺は優しく言ったんだっけ。


だけど、マリは、それ以上は口に出さななかった。

結局は俺、何も聞けなかったんだ。

マリがあまりにも苦しそうな顔をするから、それ以上何も聞けなかった。


だけど、あいつ、帰りに言ってくれたんだよ。



「あたしも…雅人のこと好きだから。」



って。

顔真っ赤にしながらな。


なんか、それ聞いたら、マリの男嫌いの理由とはそのときはどうでもよくなって、思いっきりにやけたのを覚えてる。

んで、俺調子乗って、マリのこと抱きしめたんだよ。

だけど、その瞬間思いっきりマリに俺突き飛ばされたんだ。


あの時は本当に驚いたよ。

だって、好きな相手からのハグって普通嬉しくね?

だけど、あいつは思いっきり俺を拒否ったんだよ。

俺の頭の上には?マークが浮かんだね。

多分10個以上は。


マリは小刻みに震えていた。

両手で自分を抱きしめて、顔を真っ青にして。