ときおり、バックミラーで俺のことをちらちらとみてくるのがわかる。
「ってかさ。聖也は好きなの?あいつのこと」
ついには呼び捨てできやがった。
フレンドリーの枠をとうに超えてしまっている。
しかも、このドストレートな質問もどうかと思う。
「好きなら何か問題でも?」
「ふーん。笑わない、絶対的ポーカーフェイスのお前と、男嫌いな、マリ。
お似合いじゃねぇの?しかも、2人ともバスケしてんだし、意気投合しそうじゃない?」
なんで、俺がバスケしてたことまで知ってるわけ?
しかも、俺が笑わないってことも。
……一体。
「何者なんだよ」
初めてバックミラーでそいつの顔を見た。
すると、そいつは口角を少し上げて、不気味に笑いやがった。
「さぁね。よし、着いた。降りろよ」
そういって素早く停車し、エンジンを止めて素早く降りるおっさん。
俺は、一刻も早く外の空気が吸いたくて、車が止まった瞬間勢いよくドアを開けた。
そして、一度ゆっくりと深呼吸してみる。
外の空気がこんなにもありがたいと思ったのはこれが初めてだと思う。
車が止まった先は、普通のファミリーレストランだった。
もう5時を回っているため、お客さんは少ない。


