アイツ限定




「おいおい!PGのマリちゃんいんじゃん?何、あの子、バスケできるんすかね?」



チャラ男が、盛っている髪の崩れを気にしながら、あたしたちの方を見てにやにや笑っている。

一瞬、鳥肌がたったけど、すぐに治まった。


自分に言い聞かせる。


あたしは、大丈夫、大丈夫だって。



「さぁ、池島さんなに考えてるかしんねえけど、さっさと勝とうぜ。」



チャラ男の隣にいた坊主が、余裕そうに笑う。



「でも、あのでかいやつ、村上ですよ。しかも、T中で4番つけてた奴ですよ。あいつの代のT 中は全中で優勝してますよ。あいつは、警戒すべきです。」



ゴボウみたいな奴が、こそこそいっているらしいが、こっちに丸聞こえだ。



「じゃー、あの1番だけに4人マークだ。あの女には、キチだけでいい。」



そうって場をしきるチビ。


キチとは、どうやら、チャラ男のことらしい。

げ、よりによって、一番苦手な分類の奴が来やがった。



「並べーっ!始めるぞー!」



部長が、声を出して部員を集め、あたしたちは整列した。


こっちは2人。

相手は5人。


相手はあたしのことを完全になめている。