アイツ限定




「…あ…マリっ!」



向こうから人がこちらへかけてくるのがわかった。


この声は……



「優兄……。」



「お前の兄貴?」



「うん、そう。」



村上はその場で止まって、優兄がこっちに来るのを待っているようだ。

暗くて、顔はよく見えないけれど、声でわかる。



「っはぁ…はぁ…っ!お前、今警察から連絡あって……。」



優兄は、村上には、目もくれていないようで、心配そうにあたしの顔色を窺ってくる。

すると、啓兄が、いつの間にか、こっちに来て優兄の肩に手を置く。



「ちょ、優、落ち着け。まず…そちらは…?」



「あ、俺は、クラスメイトの村上聖也です。」



「そうか…ありがとう。ここまでマリを連れてきてくれて。」



啓兄…なんか、少し声がこわばっている。

優兄も、居ても立っても居られないようで、啓兄の後ろで、そわそわしていた。



「村上、もう大丈夫だから。下ろして。」



あたしがそういうと、村上はゆっくりと身を低くしてあたしを下ろした。