アイツ限定



あたしは、はぁ…とため息をついて歩き出す。

村上も、あたしの隣に来て一緒に歩き出した。



「…痛かったんだけど。」



「わりわり。ってお前、掃除場所どこよ。」



「体育館だけど。」



「俺、体育館男子トイレ。」



「別にあたし、あんたに聞いてないんだけど。」



「なんか、聞きたそうな顔してたから、言っただけ。そんな怒んないでよ。ま・り・ちゃ・ん!」



村上が、あたしの隣で厭味ったらしく言って来る。


ちっくしょう…ムカつく…。



「あんま、悩むなよ。なんかあったら言え。」



村上は、平然とそんな言葉をさらりと言って来る。


…飴と鞭だ。